大学院に入学後、娘からマイナンバーの問い合わせがあり話を聞くと筑波大学院生の文系は授業の補助、理系は学生実験の補助をする仕事「TA(ティーチングアシスタント)」をすることによって報酬がでるためマイナンバーが必要ということでした。
特別扶養控除(大学生世代がいる納税者対象)
娘が所属している研究室では仕事内容は2ヶ月間、週1で「学生実験の補助」を行い、気になる報酬は「たいていのバイトの時給より高いくらい」そうです。
研究室の教授によってはTA(ティーチングアシスタント)をするお仕事がない学生もいるとか。
年末調整の時期になったので、娘に「塾講師&TA(ティーチングアシスタント)のアルバイト収入は扶養内か」と問い合わせをしたところ「扶養内」ということでしたが特別扶養控除から扶養控除になり控除額が減ることになります。
「アルバイトをするなら年収は103万円まで」と言われるのはなぜでしょう。
納税者本人の合計所得金額が2400万円以下の人の「基礎控除額(所得控除額)」は48万円。
給与所得額が1,625,000円以下の人の「給与所得控除額」は55万円。
アルバイトをしている本人の年収から控除される「基礎控除額(所得控除額)」と「給与所得控除額」を合算すると103万円となるため課税される所得が0円となります。
「納税者(親)」に19歳〜23歳未満の大学生世代の子供がいる場合は、我が子のアルバイト年収が103万円までの扶養内であれば「特別扶養控除所得控除」を控除申告をすることにより「所得税63万円」「住民税45万」が控除対象になります。
しかし、大学生世代の子供のアルバイト収入が103万円超えると「納税者(親)」の扶養から外れてしまい「納税者(親)」は「特別扶養控除所得控除」の控除申告ができないため「所得税63万円」が課税対象となります。
例えば所得税の税率20%の場合は126,000円と住民税45,000円の17.1万負担増となってしまいます。
また、「納税者(親)」が会社の福利厚生として出ていた家族手当もなくなります。
特別扶養控除とは
扶養家族が19歳以上から23歳未満(19歳20歳21歳22歳)の時は、「納税者(親)」がその年の所得から「特別扶養控除」を控除申告をし「所得税63万円」「住民税が45万」となります。
「特別扶養控除」は通常の扶養控除の額は38万円なので約1.6倍も所得から控除され控除額は所得税額により適用される税率が20%なら年間で126,000円、30%なら年間で189,000円となります。
アルバイト年収130万円
学生には条件付きの「勤労学生控除」があり27万控除されます。
学生本人は「基礎控除額(所得控除額)48万円」「給与所得控除額55万円」「勤労学生控除27万」を合算すると130万円となり所得税がかからないのです。
注意点として
「年収130万円」は一年間の収入の結果判定ではなく、3ヶ月連続した月額給与(通勤費込)の平均が「108,333円以下」であるかどうかで判定します。
前の年の所得が年間118万円を超えると国民年金の納付も必要となります。
130万円までは所得税がかからないのですが、親の扶養&社会保険の扶養からも外れてしまい健康保険・年金保険などの加入対象者になります。
1年間の税金・保険料 | |||
年収 | 100万円以下 | 103万円以下 | 130万円以上 |
月収 | 83,333円 | 85,833円 | 108,333円 |
所得税 | 0円 | 0円 | 4,200円/年 |
住民税 | 0円 | 1万円/年 | 18,400円/年 |
厚生年金 | 0円 | 0円 | 120,780円/年 |
健康保険 | 0円 | 0円 | 64,944円/年 |
雇用保険 | 0円 | 0円 | 0円 |
手取り収入 | 100万円/年 | 102万円/年 | 1,091,676円/年 |
年末調整と確定申告
年末調整
年間所得を雇用主が従業員やアルバイトの代わりに所得税を納税する「源泉徴収」をされている場合は払った税金が戻ってくる可能性が高いのですが、源泉徴収がされていない場合は追徴されるかもしれません。
また、アルバイト先が1ヶ所の学生で「勤労学生控除」を受けたい場合は「扶養控除等の(異動)申告」という申告書に勤労学生控除の関する事項を記入してアルバイト先に提出します。
「扶養控除等の(異動)申告」申告用紙と記載例は、国税庁ホームページから。
参照
国税庁:勤労学生控除 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm
国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_01.htm
[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告
アルバイトの掛け持ち勤務やダブルワーク
年末調整は1社しか出来ないため、アルバイトを掛け持ちしている年収103円万超える人は正確な税額が計算されないため年末調整をせず掛け持ちのアルバイト先をまとめて確定申告をすることになります。
確定申告時期になると国税庁ホームページに「令和4年度分確定申告特集」という確定申告に関するお知らせが表示されます。
画面の案内に従って金額等を入力するだけで税額などが自動計算される所得税の確定申告書などを作成できる「確定申告書等作成コーナー」を利用し必要に応じて書類をダウンロードや印刷して確定申告書を作成することができます。
確定申告書に必要に応じて勤労学生控除に関する事項の記入、健康保険や国民年金、任意の保険に加入している場合も控除申告をします。
還付金が振り込まれる場合は確定申告書を提出後の1~2ヶ月後になるようです。
まとめ
①子供のアルバイト収入が103万円を超え親の扶養から外れると親は所得から「特定扶養控除」を控除申請することができず課税対象となり、会社から福利厚生として出ていた家族手当もなくなるので親の手取り額が減ります。
②「年収130万」は一年間の収入結果で判定するのではなく、3ヶ月連続した月額給与(通勤費込)の平均が「108,333円以下」であるかどうかで判定します。
③ 「年収130万」を超えると健康保険・年金保険などの加入対象者となります。
④ 奨学金を利用している学生がアルバイトをする場合は貸与&給付されている奨学金の収入要件を超えないように注意が必要です。
⑤20歳以上で国民年金の「学生納付特約」を申請していても前の年の所得が年間118万円を超えると国民年金の納付も必要。
⑥ 途中をアルバイトをやめるときは源泉徴収票をもらうことも忘れすに。もらえない時は税務署に相談。
⑦ 仮想通貨や株などの所得、メルカリなどのフリーマーケットやブログの広告収入やアフィリエイトなどの所得、ウーバーイーツなどの所得は雑所得にあたり一定の収入があれば課税対象となります。
所得税の納税が必要な場合は、高額な延滞利子が付かないように納付期限日までに支払いをすませることを忘れずに。